露断

ロシア人には2種類います。
旧ソ連時代経験者と未経験者です。
何十年か前の日本でしたらさしづめ「戦争経験者・未経験者」というところでしょうか。
旧ソ連時代経験者は何かにつけて思慮深く、忍耐強く、不便不自由なことに対して前向きです。そして今現在のロシアの現状に対してありがたくも感謝しています。そういうこともあり、旧ソ連時代経験者は日本人であれば心の琴線に触れるようなストイックな部分を持ち合わせており、感心することしばしばです。

滞在時、私はホテルの部屋で朝食のために食べるパンが欲しいと言いました。
友人は「じゃあスーパーに買いに行こう」と言いました。
何でもないことです。しかし旧ソ連時代ではそんなことすらままならなかったのですが、体験としてそれが分かっているのが旧ソ連時代体験者です。たった20年たらずで驚くほどの変化と言わねばなりません。

ロシア時代に生まれた若者は一言で言えば今風のアメリカ人とほとんど大差ありません。これは恐るべき事なのか、悲しむべき事なのか分かりませんが、とにかくものの考え方や指向性は全くアメリカンなのです。もちろんまだ古き良き習慣も残ってはいますが、もう1世代進んだら、旧ソ連時代に培われてきた良い部分はなくなってしまうと思います。

経済的なあらゆる意味において、現在のロシアは格段に向上しており、今の繁栄を享受しています。多分感謝もしていることでしょう。ただ、友人のお父さんや何人かの古い世代の方は昔の方がよかったという方も確かにいました。がんばらないとよくなれないとうことに慣れていないのでしょう。仕方ありません。どちらがいいという話しではありません。


今の日本の繁栄は(ちょっと危うげになっていますが)ほとんどが日本人自身の手で成されてきました。(最近は違うようですが)
しかし現在のロシアの反映は多くの連邦諸国から出稼ぎに来た人たちの手によって成っている部分が大です。空港に着いたとき、新ターミナル建設に中央アジア辺りからやって来たと思われるアジア系労働者たちがとんでもなく暑い外で、みすぼらしいコンテナハウスで暮らしながら労働に従事していました。街中ではやはり下層住民の多くは白ロシア系ではなさそうでした。正規の労働ビザで来た人もいれば、密入国でやって来て、悪徳警官に泣く泣く賄賂を渡しつつ、見逃してもらう人もいます。母国に働き口がないので来ているのかも知れませんし、旧ソ連時代の負の代償なのかも知れません。確かにこの状況下ではテロの一つや二つは起きてもおかしくありません。

私が教会で見た、信徒の真摯な祈りはそのためなのかも知れません。正しいとか間違っているというのはないと思います。ねじれた部分を修正するのには時間がかかるものだと言いたいのです。日本のようにほぼ1民族1国家1言語1文化のような国でも戦後から立ち直りにはやはり1世代以上かかることを考えれば、ロシアとその周辺諸国が真の平和に至るには100年単位で考えないといけない気がします。

平和になるにはお金も時間も努力も運も全部必要です。吸い上げるだけ吸い上げて結局、みんなが納得できるほどの平和にならなかったという事もあります。日本にいるとこの国は信じられないほどのパラダイスですが、地獄の苦しみにあえいでいる国がまだたくさんあり、そういう国に何らかの手をさしのべるのが日本の役割だと思います。日本の手を掴んだ国は皆、どう悪く考えても日本の場合は「軍事」による協力でないことは分かっています。そういった安心をあげられるのも日本ならではないでしょうか。

そんなことを徒然思った次第です。

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旧ソ連時代に立てられた政府のビル。市内にこのような豪華絢爛たる城のようなビルが7つもある。
もちろん、今はこのようなビルは建てられることはない。


SD100726 碧洲齋