戦場のローレライ

今から丁度100年前は明治時代最後の年でした。
この年に44歳以上の人は江戸時代生まれです。当たり前ですね。
この年をWikiで調べてみると、やっとこさ日本の関税自主権が回復され、普通選挙が可決されたそうです。
でもこの時には既に無線もありましたし、自動車もありました。飛行機も飛躍的に進歩中でした。江戸時代生まれの人はどう見ていたのでしょうか。
日本はアジアで台頭してきたとは言え、軽工業以外は全くお話にならない程の小国でした。ただかの帝政ロシアを局地的とは言え大撃破し、歴史に残る勝利を収めたと言うことで東郷平八郎元帥の偉業は今に至っても世界中の海軍士官学校の教科書にその名を載せています。一方で近代になって初めて、白人を打ち破った黄色人種、というレッテルを貼られ、日露戦争当時の熱意はどこへやら、白人たちは少しずつ引いてしまった様相これあり。

息子の体調が悪いので半休を取って午後から息子と一緒に過ごしました。
ヒマなのでDVDを借りてきました。ズバリ「ローレライ」。福井晴敏さんの作品は結構好きです。
戦争・潜水艦・秘密兵器・美少女、ん~「ガンダム」並にウケ狙い大ですな。ま、それはともかく彼の政治観、人間観が結構好きです。役所広司さんが艦長で柳葉敏郎さんが副長、反乱を企てる大佐には堤真一、カッコよすぎ。主演の妻夫木くん消えそう。いやいやよかったです。

簡単にかいつまんで言うと、日本海軍のとても賢い浅倉大佐が、腐敗しきった日本を再生させるために国家的切腹をしようと画策します。つまりアメリカに東京に3つめの原爆を落とすように持ちかけ、国家そのものである天皇陛下を抹殺しようとします。その手土産というか交渉材料として、ドイツから逃げ延びてきた秘密兵器「ローレライ」を使ったと言うことです。

(ここから先ネタバレあり)

ローレライを搭載した潜水艦は伊507と呼ばれ、元ドイツ海軍の潜水艦でした。その中枢部分は超能力を持った少女です。彼女は水などの液体を通して物体を知覚するばかりか、心まで読み取れます。ローレライ装置はその彼女の能力を増幅させて砂鉄のようなもので知覚したものを視覚化させます。だからよく映画でやっているような潜水艦を探知するソナーが耳とすれば、ローレライは眼です。このぐらい便利なものはありません。
しかし海域で米海軍と接触寸前に事実を知らされた艦長はそれを拒否、艦内にいた浅倉大佐の手下を征圧、一路テニアン島のB-29基地に向います。

写真は伊507のモデルになったフランスの潜水艦「シュルクーフ」、それがドイツに捕獲され、日本に逃げてきたという設定です。デッカイ大砲を積んでいたんですね。
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私は小説も読みましたが、なかなかおもしろかったです。
大佐の言い分ももっともです。当時よりも今の日本の政治家などが聞いたらぐさっと来るでしょうか。「このまま誰も責任を取らずに中途半端に日本が負ければ、100年後の日本はアメリカの奴隷のような状態になるだろう!」ちょっと正確な台詞は忘れましたがこんな事を言っていました。まさに深いィ~レバーオンですね。じゃあどんな方策がよいのか分かりませんが、ともあれ今の日本はアメリカなくしては成り立ちませぬ。去勢された優秀な馬がちょっと賢くデブった騎手に乗られているような感じですかね。ん~書いてみると本当に悔しい。まあ、それもものは考えようです。ソ連や中国だったら本当に眼も当てられません。やっぱりアメリカで良かったんです。(ということにしておきましょう)
でもやはり艦長は少年少女の力を借りて戦わねばならないことを恥じ、日本の未来を信じるんですね。な~んだ、結局そんなことか。映画だとちょっと話をはしょりすぎていますので、興味のある方は小説をお薦めします。「亡国のイージス」もおもしろいですよ。

彼の作品にはいつも日本の未来への危機感と若者たちへの期待があります。

科学力とか経済力とかいうものではないんですね。私もそう思います。100年前の日本なんてやっとアジアの小国から脱却できたかどうか、というレベルでした。経済で一喜一憂するよりも、学力が世界で何番目だとかで気を揉めるよりももっと大切なことがあるわけです。それは国によっても違うと思いますが、日本の場合は先進国でもっとも古く、唯一のアジア国、何と言っても世界で唯一の被爆国です(もっと言えば落とした相手と一番仲がよい国ですね)。経済力とか科学力などというシロモノは女心のようなもので、世界中、気の向くままにある程度努力した国に栄冠を与えます。だから逆に言えば何も考えずにそんなものを追いかければ、気持ちよくなったころには身ぐるみ剥がされて貢いだ挙げ句、その女は別の男の元に去って行ってしまうようなものです。故に私は国家の根本を成す教育、それも日本について省察を持つ教育は重要だと思っています。そのような自覚を持った上でその国が世界に対して何ができるのかを考えることが多分、本当の意味での国際的というのではないかと思っています。息子にもそのように教育しています。

あまりにヒマなので、色々とくだらないことばかり書いてしまった感あり。でも「ローレライ」映画も小説もおもしろかったです。


SD110224 碧洲齋