自由の旗の下で

・・・というと私の場合「宇宙海賊 キャプテンハーロック」以外に何も出てきませんが、この自由について、青春時代は死ぬ程考えました。
結論としては義務と権利のない自由はない、だからある意味完全な自由などない、というものでした。キャプテンハーロックといえども、乗組員やアルカディア号の整備維持のために自由を曲げねばならぬ事しばしば。やっぱり自由なんてないんです。そう思った方が健全でしょう。

昨日は八王子氏照まつりに参加しました。10月下旬とは思えぬ25度超の気温に本当に殺されそうでした。祭り自体は初めてだったにもかかわらず、なかなか人も集まり、今後の発展に期待したいところです。
今回私は私の会社に来ている、中国人研修生を誘ってみました。L君はこの春に大学を出て、弊社の中国法人の工場に勤務しています。日本語はなかなかよくでき、結構難しい日本語も理解します。
こういう御時世です。私は積極的に中国人研修生たちと交流を持ちたいと思っていました。ま、研修生が来た時はいつも何かしら誘うんですけどね。
若いためか、こういう時でもL君は色々核心的な質問をしてきました。

天皇について
中国では天皇とは皇帝と同じ地位の人間だと解されています。英語ではemperorなので確かにそうです。が、中国人の多くは天皇を中国の皇帝と同じく、専制君主だと思っているようでした。気分次第で何でもできる、巨大な権力を持つ人。日本の場合は憲法があるので、多少は窮屈、そんな程度の認識のようでした。
日本の天皇とは立憲君主であり、国民から選挙によって選出された議員たちの議会で決定されたことに対して承認するという権力があり、自分勝手に何かすることはできない、と説明すると、衝撃を受けていました。大日本国憲法は現行憲法よりも天皇の権力は大きいですが、それでも議会を無視して何か勝手にやったという話しはほとんど聞きません。完全に独断専行をしたのは終戦工作。それを説明したらショックを受けていました。

文化について
今、日本人のかなり多くは中国人を嫌っています。ワガママだから?ジコチューだから?まあそれもありますが、日本人が本気で怒っているのは、私たち日本人は1000年以上も昔、命を賭けて位の高い人たちが中国に渡り、儒教を始め色々な思想哲学を輸入してそれを実践して今のようになった。しかし中国人は豊かになったとたん、そういう大切なものを放り投げて世界中からひんしゅくを買う行動に出た。日本人はそれを恥ずかしく思い、裏切られたと思っている。日本人の怒りの根源はここにある。
三峡ダムを造った時、かの有名な白帝城が水没した。日本だったら絶対にあり得ない。あの白帝城を経済のために水没させた時、三国志ファンの日本人で嘆かなかった人はいない。あの愚行を恥と思わない中国人はいなかったのか?命がけで止めようとした中国人はいなかったのか?経済は生もの。100年後の中国は経済的に全く落ち目にあるはず。日本も同じかも知れない。しかしそういう時でも歴史や文化を大切にして誇りに思えば、世界から高い敬意を持たれる。経済は100年程度のため、文化は1000年程度のため、これを中国人は忘れてしまったのか?

自由について
尖閣諸島の是非は分かりませんが、日本と中国では絶対的に同じ土俵ではない。日本では政府や民主党を非難しても良く、そのようなことを新聞や雑誌、ネットに掲げてデモを起こすことも許されている。だから尖閣諸島が中国のものだと言う自由もある。ただしそれには怪しげな根拠ではダメで、正しい根拠の元であれば、どんな主張も上げることができる。しかし翻って中国ではどうか?発言の自由がない。尖閣諸島は自分たちのもの、それ以外の主張が許されない。そんな国と日本との論争ではどちらが一体、より正しい結論を出せるのか?

民度について
世界中で日本が嫌いな人が多い国は中国と韓国。でも世界は違う。私も海外に行ってパスポートを見せれば大抵、親切にされる。バカにされることもない。中国人と韓国人は日本が嫌いかもしれないが、現実の世界はそうではない。中国人の元々の民度が低いのか、共産党政権になってから悪くなったのか。共産党政権になってからそうなったのであれば、これはすべて共産党政権の責任だ。日本人は恥を知っている。壊れたものを他人に売ったりすることは信用を失い、同僚や会社にまで迷惑をかけ恥を掻く。日本人はそれを一番恐れる。みんなそう思っているから比較的よい社会、よい製品を作れる。

デモ
中国人はデモをしているが日本はしない。何故なら今の政府は少なくとも日本国民自身が選んだ政府だから。(私は選んだことはないが)日本人は今の政府を誰か他の人の責任にはできない。自分たちが選んでしまったから。だからデモの代わりに次の選挙で政治家たちは評価される。中国では誰にも選ばれていない共産党の政治家だから、国民は他人のせいにできる。しかし中国人も責任や義務、何よりも中国人であることがどういう事か、もっとよく考えないと、古いだけで愚かな国と思われてしまう。

などなど、上記はごくごく一部を取り上げただけですが、民度や共産党、尖閣諸島問題、一人っ子政策などなど、かなり核心的なテーマについて、やはり若いだけあって飲み込みも早い。また、日本企業に勤めていることもあって、日本に来ればさすがに共産党に対する不満もあり、中国社会のふがいなさなどにはよく認識があるようでした。
ただ日本人にも分かって欲しいのは、誰も選んでいない共産党の政治家たちに対して意見しても全く効き目なく、デモは一般庶民の数少ない意思表示であるため、あまりひどい言い方をしないで欲しいと言うこと。確かに選挙が普通にある国の人からの視点で、彼らを一概に野蛮だとか言ってはいけないですね。

日本にいる間、中国国内では決して調べられないようなことを良く知り、何がどうおかしいのか、よく知ってくださいとアドバイスしました。

尖閣問題ではありませんが、祭りが終わり、甲冑を脱ぐ際に、「昔の人はこんなに大変な思いをして準備したんですね。本当に戦争はばかみたいです。」とコメントしていました。日本が正しい、中国が正しい、という解ではないのです。この視点こそが、私が国際交流をしようと思っていた原点です。汗水流して戦争の準備をする、果たしてそれが労力に見合った、世間的につじつまのあったことなのか、そういう疑問を持つことで、日中間のいざこざも減って欲しいと思ったのでした。

そういう意味で最後になりましたが、八王子氏照まつりを運営された皆様、甲冑武者関係の皆様、日中間の理解に大きく役立ちました。本当にありがとうございました。


平成二十四年神無月二十二日
不動庵 碧洲齋