陣太刀を以て器量を知る術・・・など

実は最近、時代祭の際は陣太刀の装着に着目しています。
ゆるく装着する人と、きっちり装着する人と。
お祭りではどちらが正解というのはないと思いますが、スルリと抜ける高さが一番かと思います。
また、前胴だけの人はともかく、フル装備の場合はやはり太刀は吊したいもの・・・と考えていましたが、戦場では長ものがメインだったので、ガチの場合はきつめに差しておいた方が紛失しないのかなとも最近思うようになりました。
吊っていた場合に比べてかなり丈夫に装着できます。
上級武士ならともかく、中級以下で前胴でない武者でも吊っていなかった武士もいたかもしれませんね。
甲冑も太刀も当時はかなり高価なシロモノ。
今で言うと自動車ぐらいの価値があります。そう簡単にはなくしたくないですね。
無論、その場合は2尺とか、長くない太刀だったと想像します。
2尺1.2寸を超えるとちょっと抜きにくいでしょう。
個人的には直接差す場合はやや短めで太かったのではなかろうかと思います。格闘戦ではその方が有利です。

その中で、私はなにげに陣太刀を吊っている甲冑武者の所作を観察しています。
甲冑武者が動いたとき、吊った陣太刀の揺れでどのくらいの力量があるのかが分かります。だいぶ分かるようになってきました。
簡単に言うと慣れの問題なので、例えばおもてなし甲冑隊のように、頻繁に着ている人たちはうまいと思いますが、私の場合は当然、武芸をしている人でなおかつ陣太刀を吊っている人が観察対象になります(笑)。

どんな風がいいって?(笑)。ベストなのがほとんど揺れないことです。緩く装着しているとそれは難しいので、見栄え的に緩く装着している場合は致し方ありません。しかししっかりと装着していてもガチャガチャしてしまう人がいれば、チャッチャッとしか揺れない人もいます。あまり揺れない人もいます。

何故そんなことに気を配るようになったのかと言えば、下半身の身のこなしで力量が分かるからです。
上半身の流麗華麗さに目を奪われる人が多いですが、下半身を見事に遣っている人は実はあまりいません。
そういうことで陣太刀の揺れ方に着目した次第です。
上半身とか半身の動きが連動しておらず、連携していないと太刀はかなり不規則に動き、邪魔な感じになります。
揺れるにしても規則的ならまずまずの動きをしていると言えます。
今のところ、唸らせるような方は見かけませんでしたが、仲間内で下半身がぶれずにのっしのっしと歩く人が2.3人いますが、こんな人たちも合戦ではかなり手強いと思います。

上半身の方が楽々動かせますが、下半身に比べて力はなく、しかも持久力に欠けます。
最初の1人2人は倒せても、疲れた頃によってたかって殺されます。
だから戦場ですぐ疲れそうな高級武士を見つけたら、家来の足軽たちに寄せさせて、疲れた頃合いを見計らってとどめを刺したのでしょう。
足腰でひとりひとり確実に倒す人が、昔は有能ではなかったかと想像します。

体の遣い方は武芸に限らず、日常生活でも非常に有用です。
何かの折に自分で課題を考えて試してみて下さい。


画像

参考までに甲冑仲間の炎鯱さんが撮影してくれもの。
これはコントで振りかぶる槍が松の木にひっかかってしまうというオチ。
見ての通り下半身だけがぶれています。
細かく言うと、写真では浮いている左脚が定まってから添えている左手を握り定めるために微調整して、慣性力を殺さずに最後で槍を振りかぶるという順序になります。
先に下半身が固定されてから振りかぶるので、槍が伸びきったときは太刀が揺れません(多分・笑)。
これを上下逆にすると不安定でいわゆる軽い動きになります。
蛇足ですが画像では私の癖で、廻したときはギリギリ一杯の間合いで打つため、石突き側の柄が胴の厚さ程度の余裕しか持たせていません。

ま、少し武者行列の寸劇などの参考になればと思います。


平成二十四年霜月十四日
不動庵 碧洲齋