高みに登り足元を見れば・・・

先日、去年来日した折に色々世話をした中国人研修生L君から年賀葉書が届きました。
中国では春の季節に出すもののようです。
その返事で色々メールに書いて届いた旨をメールしたのですが、なかなか興味深かったので少しかいつまんで紹介したいと思います。

中国では環境問題についてはやはり政府の発表は国民の誰も信じず、酷いものだと憤っていました。
しかし残念なことにそれを助長しているのは中国人だけの問題ではなく、我々外資系の会社も荷担しているという意実。
ある外資系の中国工場では部品洗浄した廃液や油などを直接下水道などに流しているのを何度も色々なところで目撃したとのこと。彼自身は法的にそれは問題ないのか、当局が黙認しているのか分からないが、いずれにしても酷い廃液を工場から排出していることに懸念を持っているようでした。彼は特に外資系の会社を批難するでもなく、この矛盾を冷静に提起していました。

今中国では日本が経験してきた時代と比べても、およそあり得ないような公害が発生していますが、その少なからぬ部分は先進国の発展の為でもあります。正直に言うとあまり認めたくありませんが、今現在に関して言えば、中国製品抜きでは日本はもちろんのこと、欧米諸国も成り立ちません。将来的にはやはり色々な意味で他国にシフトしていくことには大いに賛成ですが、とりあえずは今は中国頼みの部分が多くあります。

そういうことで、外資系の工場などでは普通、中国国内の企業に比べて高い福利厚生があり、設備も整っているはずですが、L君が実際に外資系企業の工場から未処理の廃液が流されている現実を見た話を知ると、環境汚染、公害拡大について一方的に批判するのではなく、貸しを作るという意味もあって(貸しと思うかどうかは別として)、協力するのが、熟成した先進国のあるべき姿勢ではないかと思ったりします。

言うまでもなく日本国内では中国人による犯罪やモラルのひどさが取り上げられますが、例えば浅草界隈では中国人観光客によって利益を得ている観光関連の店が多くあります。日常生活でも、日本メーカーで中国製というのも多くあります。今すぐ中国と断絶すべし、というのは共産党辺りがわめいている原発ただちにゼロのような、現実味に欠いた行動です。

どんな酷い隣人でも、まずは日本にも被害が出たらそれを防ぐためにはイヤでも何でも協力して阻止するのが大人の国ではないかと思います。そういうことがあって初めて、中国国内で起きる反日暴動や理不尽な要求にも毅然として対応できるというもの。私は中国にある外資系企業には例えば日本で活動する外資系企業のような高いモラルを以て営業してもらいたいと思っています。

今の中国を見ると自業自得という感も拭いきれないのは事実です。国民の少なからぬ部分が道徳よりも利益を追求した結果が今に反映されています。しかしそれでも私の知る中国人にも日本人と同じ程度、ささやかな幸福を守り、それだけ守れればよいと思っている素朴な人も確かにいます。がん細胞を持った人は健全ではありませんが、それでも健全な部分があり、生きようとしている部分があることを知ることは重要ではないかと思った次第。

中国の問題に関しては、厳しく指弾すべきところもありますが、彼らの汚れは先進国が出すべきだったものも多く含まれていることもまた、知っておくことは無意味ではないと思います。どの国であれ、自分たちが働くところを大切にする日本人の心意気をできるだけ世界に知らしめたいところです。


平成二十五年皐月七日
不動庵 碧洲齋