集団的自衛権閣議決定

昔の安保闘争の時もこんな感じだったのでしょうけど、実際に結構な反対が国民から上がったとしても、多分安保闘争ほどには派手でも大きくもなかったように思います。
その理由はとても簡単です。現実に日本の平和を脅かそうとしている国がすぐ傍にあり、しかも一つならず二つもあることをよく理解しているからです。

今風に言えば日本人はとてもポエムな思考形態を持っています。隣に武装して今にも押しかけようとしている人がいるのにその人の善意を信じてそれが通じていると思っているような感じでしょうか。実際には当事者がお金持ちなので何とはなしに周囲から守られていると言うのが実態です。
憲法第九条がものすごくおかしい内容であることは米国ですら認めています。時々私も外国人に説明するのですが、曲がりなりにも一国家の憲法に防衛のための戦力を保持しないなんて事が書いてあること自体が信じられず、ちゃんと英語で説明してもなかなか理解してくれないことしばしば。米国人の友人でも「それは絶対におかしい」と言います。正しいと思っているのは世界でも日本だけです(苦笑)。

現実問題として自衛隊の戦力というのはなかなかものもで、世界でも5本の指には入ります、と書くと左寄りの方は「それみたことか」と言いそうですが、現実に既に戦力を保持していること自体、そしてその戦力を以て相手国の攻撃を自制させていること自体が既に軍隊の存在が間違っていないと言うことです。世界中で自衛隊なんておめでたい言葉が通じるのは日本だけで、私は面倒なのと馬鹿馬鹿しいので英語で話すときはごく普通に「army, navy, air force」で通してます。時々、義理立てや説明する必要上、「defence force」を使う程度。世界の大半の国の軍隊は、その機能上、ほとんどが「自衛隊」なのです。今時わざわざ遠くまで遠征して戦争に行くなんて言うご苦労なことをするのはアメリカ以下数カ国ぐらいです。そして日本はそのお陰で70年間もポエムな生活を楽しんできているわけです。私たち日本人の外交能力が卓越していたわけではありません。この辺りはよーく認識していそうですが。まあ、経済力は卓越していたと言っていいと思います。

アメリカは疲弊してきていますし、そろそろアメリカ国民もはるか遠い、アメリカと全く関係ない国に軍隊を送り国ばかばかしさに気付きはじめています。彼らを今まで支え続けてきたのは「ナンバーワン教」他なりませんが、いい加減その宗教にも飽きてきた感があります。
アメリカの軍隊が減るということは、今までアメリカ軍が防衛に荷担していた国はもっとその負担が増えると言うことです。良いとか悪いとかではありません。元々お節介なアメリカが色々な利益権益があったとしても軍隊を出していたのを、引くだけですから文句は言えません。日本などは感謝してし尽くせるものではないですね。
70年間、戦争で人が一人も死ななかったのは日本の能力だけではありません。もちろん平和を希求する日本人の資質が、世界的には格好悪かったりノロかったりしても、犠牲を減らしてきたことは事実ですが、在日米軍がいたらこんなものではなかったかも知れません。そもそも70年間に亘って戦争で死んだ人がいない国は多分ありません。他の先進国も国連関係の作戦で結構戦死しています。70年間に亘って戦争で死んだ人がいないという状況はかなり異常なのです。もちろん私だって犠牲が出るのはイヤですし、そうなってほしくありませんが、日本のこの環境は海外と比べるとかなり異常です。実際に何十ヶ国の外国の友人たちと語り合って感じます。

クラウゼヴィッツによると戦争とはある国が武力を以て他国に攻撃を仕掛ける。ここまでは戦争ではありません。攻められた国が抵抗する、これが戦争です。無抵抗なら戦争は決して起りません。日本人はこの覚悟がありますか?私は絶対に嫌です。相手が戦車で自分には棒きれしかなくても絶対に抵抗します。その段階になったら行政の言うことなんか聞きません。大変失礼ですが、天皇陛下の言葉があっても多分戦ってしまうでしょう。ま、戦いなんてレベルではないでしょうけどね。
自衛隊はかなり優れた軍隊ですが、日本人がイメージする「戦争できる軍隊」に大きく欠損する能力があります。それは「備蓄」がとても少ないこと。「遠征する」にはとても少ない輸送能力であること。どこぞの国に攻めに行ってヤーヤーと戦争するには全く適さない軍隊です。ちなみにフランスやイギリス、ロシアなどは遠征能力があります。「戦争をさせない」とか言っている人たちはどんなイメージで言っているのか分かりませんが、最寄りの半島や大陸に攻めに行くなんて考えているのであれば全く以ておめでたい人たちです。自衛隊の輸送能力はよその国に戦闘に有効な頭数を無事に送り出せる程ではありません。そもそも装備があっても人がついていかないでしょうね。
日本の自衛隊が精強である条件は日本とその周辺である局地戦であること。攻めに来た国は相当痛い目に遭うことは間違いありません。厳密に言えばそれすら憲法に違反しているというのですからぶったまげます。海外ならさしずめコメディーのネタになるでしょうか。

安倍総理が国民の声を多少、無視して強引に集団的自衛権を認めた理由は二つあると思います。(もっとあるかも知れませんけど)
一つは米軍の軍事費が削減されつつあると言うこと。現に米軍は2016年(だったか?)から韓国から撤収します。日本の駐留も減るでしょう。しかしながらご存じのように中国の武力による威圧は頻繁に起きていて、局地的な戦闘すら可能性としてはかなり高くなってきています。多分起きてもおかしくないと思います。中国人民解放軍は他の先進国の軍隊のように政府の元、厳密に管理させているわけではありません。軍閥があり、地域によって指向性がかなりばらばらです。これは清国時代からそうです。日清戦争時、日本連合艦隊は大清帝国艦隊と戦いました。戦力比はトン数で言うと日本連合艦隊は6万トンに届かず、一方清帝国艦隊は総トン数では8万5千トンもあったのに、東西南北の艦隊のうち、出撃したのは最大だった北洋艦隊のみ。しかも一部の艦艇は出撃しなかったなどと言う信じがたいものでした。一艦隊司令が政治的思惑で動くというとんでもないものです。全艦隊が出撃していたらもちろん、精鋭であった日本艦隊でも勝てなかっただろうことは想像に難くありません。そのくらい中国の軍隊というのはちゃんと動かないものです。

・・・ということで今まさに自衛隊の皆様が日々ご苦労されている人民解放軍も同じです。最近では天安門事件でもそうでした。上司の命令を無視して勇猛果敢に名を挙げようとする解放軍将兵はたくさんいると想像します。小艦艇の艦長さんすら、気分とチャンスがあったら命令がどうであれ一発かましてやれと考えているでしょう。その一発がとんでもない事になるという想像は出来ないように思います。
そんなことがあった場合に速攻、対応する必要を政府は感じているのかも知れません。もちろん、政府は中国と交戦の可能性がレッドゾーンに入りました、なんてことは言いませんよ。状況を正しい言葉で表記してあっても、日本ではそれは禁句と見なされていますから。多少強引でも、遠からず起るであろう事に備えているのかも知れません。
以上が一つ目。

なんで日本は国連で常任理事国に入れないのかと、長らく日本人は不満タラタラですが、やっぱりまだ入れません。残酷ないい方ですがそれだけ血を流してないからです。お金だけ出しているなんてやっぱりマズいです。世界には日本ファンの国は多くあります。少なくとも日本に悪意を持っている国は片手でもおつりが来る程度です。でも強く推せない。やはりまだ国連活動に献身的ではないからです。お金だけたくさん出して献身的だろうなんて思っているポエム的思考形態はやはり戦後70年も戦死者を出さない国だから故。戦前から独立している国でもそのくらい平和な国もいくつかあるかも知れませんが、そういう国を持ち出した方は失礼ですが笑止ものです。日本は経済的に強力な影響を持つ国です。他の小さな平和かも知れない国とは違います。今、国際貿易で使われている通貨はドルとユーロとそして我らが円です。中国の元ですら、一般的ではありません。ユーロはまだ信用が足りない。そのくらい日本経済というのは強力な影響力があるのです。その国がお金だけ出しているというのは実に格好悪い。いや格好だけではありませんが、国際的な場面で堂々名乗り出るにはパンチが足りません。

運がよかったらあと10年とかで中国が王朝交替、じゃなかった政権交代で力を失うかも知れません。中国は王朝交替するごとに、前王朝を徹底否定しますから、ゼロからの出発、つまり国力の大幅減が期待できます。そしてロシアともっと仲良くしたら、ホラ、常任理事国入りはかなり楽だと思いませんか?安倍総理がそこまで考えているかどうかは分かりませんが、私は考えているような気がします。
世間には何でも右か左か親日家反日かでものを見る御仁をよく見かけますが、世の中はそんなテレビゲームみたいな分け方で出来てません。10年、20年、50年、100年先を見据えて動くべきだと思います。少なくとも政府は。

何が何でも軍隊(自衛隊)を持たない、というのなら控えめに言って明治時代の政治家に数倍する能力を持つ政治家を、明治時代の倍数ぐらいいたら、もしかしたら寸鉄すら帯びない国家でもうまく切り抜けられるかも知れません。(それでも明治時代は2回も大戦争がありました)

もしくはスイスのように国民皆兵、どの家庭にもシェルターや銃器、町内会には対空ミサイルや対戦車ロケット砲を常備、要所要所は要塞化したりする努力はどうでしょう?日本人がそれをしたらどの国でもかなりビビりまくること必定です。(笑)スイスの永世中立というポリシーは長年、そういう涙ぐましい努力によって守られてきました。国連加盟後も永世中立というのかどうか知りませんが。

それができないから使いたくもないお金を使って、イデオロギーを無視したり拡大解釈したり、憲法第九条を決めた当事国ですら見て見ぬ振りをして強力な軍事力を作っているのでしょう?違いますか?現実はポエムじゃないのです。既に持っている軍事力をヘボに使うのは国家の資産を十分に機能させないと言うことですから浪費です。
どういう決意もないのにあれもこれもヤダとか言うのは民主主義社会ではいかがなものでしょうか。

今回の決定があってなお、多分自衛隊は今後もかなり自制の効いた軍事力であることには違いありません。ポエムな人たちが言う「戦争」なるものが海外遠征ならポエムじゃなくてドリームですし、攻めてきた国と交戦を意味するならそいつらはホンモノの国賊です。しかしながら今時この日本に対して軍事力を行使するのは後先考えずに刹那的に動く国か、国際的な影響力によほど自信がある国か、どちらかでしょう。今時、ひとかたならぬ国家が一旦戦火を開くと、国際社会からの制裁は相当痛いものです。

・・・気分でサーッと一気に書いてしまったので、少し間違いがあるかも知れませんが、私が今回、集団的自衛権について思ったことです。あくまで気分で書いたのでご了承下さい。


平成二十六年文月二日
不動庵 碧洲齋