後進の育成 -昨日の稽古の所感に寄せて-

ありきたりになってしまうのですが、後進の育成は門派を隆盛させるだけでなく、自らの稽古にもなると言う事は昔から言われてきていることです。
単純にインプットとアウトプットあっての完成なのだと思います。
確かに社会人でも親から育ててもらったのに親になって子を育てない人の中にはいささか社会的に未成熟な感じがする人が多い。そういう人が社会に増えてきたことは、今の社会の有り様に関係あると思います。
人類に限定しても何十万年もしてきたことを、たかだかこの1世代で理由を付けて次世代の育成をしないことは明らかに自然の摂理に反しています。

昨日は久し振りに入門してきた新弟子に稽古を付けました。
私はインプットばかりの偏食武芸者ですが、やはり偏食も過ぎると自覚症状が出てきます。
環境もそのように変化してくるものです。
そういうことで心機一転と思っていた矢先でした。
少し前まで指南していた弟子がいたのですが、余りに幼稚な国家主義と愛国主義を固守し続けるので折を見て注意してきたのですが、とうとう辞めてもらいました。当流は国際的な武芸集団として最近ではテレビにも出るぐらい有名になっています。安っぽいナショナリズムやパトリオティズムを振りかざされるとものすごく迷惑します。

新弟子さんは概ね私の半分の年齢、ここまで若いのは初めてです。
自分が年取ってきたという事でしょうか。いやはや。
変なくせも毛色の変わった主義も他流での履歴もない、当道場には大変珍しい、ごくごく普通の青年です(笑)。
忍びに憧れて当流を選んだそうです。
私もボチボチ初心に還って手ほどきしようと思います。

懐かしの昭和時代、「エースをねらえ!」なんていう熱血スポ根マンガ/アニメがありました。昔は嫌いでしたが、いつだったか何かの切っ掛けで漫画を読んだとき、大変衝撃を受けたものです。根っこの部分ではやはり平成組は昭和組に勝てない気がする、そんな感じです。私も今となっては平成に生きている年月の方が長くなってしまいましたが、やはり多分私は昭和時代人じゃないかと思います。

「エースをねらえ!」でヒロインの岡ひろみを徹底的にシゴいた宗方仁コーチの、大変素晴らしいアドバイスを2つ。

「特訓のつらさから魔球だの何だの、あり得ない技にあこがれないこと。あり得ない技に逃げるその精神力の弱さが問題だ!」

「力を出すには自信がいる。自信を付けるにはとことん練習することだ。誰もが恵まれた長所を伸ばし、短所を努力で補って試合に出ているんだ。二度と素質などと言う言葉を口にするな。」

これはテニスのアドバイスですが、真理を突いたものは万芸に通じるものです。
私も稽古の折にはよく、この言葉を思い出します。

平成二十七年葉月二十六日
不動庵 碧洲齋