71回目の終戦記念日

今年は戦後71年に当ります。
71年というと、例えば明治維新で言えば明治元年から昭和14年になります。
色々な言い方がありますが、結構昔になってきているのは事実のように感じます。
終戦80周年ぐらいになったら、当時の戦争体験者は多分ほとんど他界していると思います。

71年というのはざっくり2世代に相当しますから、多分今の世代の日本人には戦争は体感として理解しにくいものになっていると思います。それは裏返して言えば平和なことですし、多くの国が羨む環境ではないかと想像します。先進国で70年以上も「戦死者」が出てない国は日本だけだったでしょうか。

逸脱しますが、先日テレビ放映されたジブリ映画「コクリコ坂から」では主人公のお父さんは朝鮮戦争時にLSTを操艦していて戦死したとありました。船舶、つまり海軍に軍属として日本人が従事していたことは知っていましたが、やはり死んだ人はいるんでしょうね。今まで知識としてしか知らなかったのに、「コクリコ坂から」を観てリアルに感じました。現実に自衛隊の軍事力などを考えると、日本の平和憲法などと言うものは所詮この程度のものなのかも知れません。

海外の主要な国では第2次世界大戦を祝う日として定められているのは9月2日、日本政府が米海軍戦艦ミズーリ艦上で降伏文書に署名したその日になります。
8月15日というのは「昭和天皇が降伏を受諾した日」ということです。
この辺り、日本人のものの考え方が如実に表われているのかなと思います。もっとも負けたことを祝うような国はないと思いますが。(8月15日を祝う国ももちろんあります)

先に今上陛下が御自らの退位について、慰霊とも言えるお言葉を発表されましたが、天皇自ら国民に何をか伝えるという
自体、まず普通ではないことをよくよく噛みしめたいところ。今回の発表は皇室内のこととは言え、天皇と日本は一心同体、我が事のように考えたいものです。

終戦時の玉音放送、よく戦争のドラマなどで流れてくる「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」ですが、口語訳にしたものを紹介しますので、ぜひご一読ください。先帝陛下がどんなことをお考えになって、聖断を下したか、分かるかも知れません。

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 朕深く世界の大勢と帝国の現状とに鑑み、非情の措置を以て時局を収拾しようと思い、ここに忠良なる汝ら帝国国民に告ぐ。

 朕は帝国政府をして米英支ソ四国に対し、その共同宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告させたのである。

 そもそも帝国国民の健全を図り、万邦共栄の楽しみを共にするは、天照大神、神武天皇はじめ歴代天皇が遺された範であり、朕は常々心掛けている。先に米英二国に宣戦した理由もまた、実に帝国の自存と東亜の安定とを切に願うことから出たもので、他国の主権を否定して領土を侵すようなことはもとより朕の志にあらず。しかるに交戦すでに四年を経ており、朕が陸海将兵の勇戦、朕が官僚官吏の精勤、朕が一億国民の奉公、それぞれ最善を尽くすにかかわらず、戦局は必ずしも好転せず世界の大勢もまた我に有利ではない。こればかりか、敵は新たに残虐な爆弾を使用して、多くの罪なき民を殺傷しており、惨害どこまで及ぶかは実に測り知れない事態となった。しかもなお交戦を続けるというのか。それは我が民族の滅亡をきたすのみならず、ひいては人類の文明をも破滅させるはずである。そうなってしまえば朕はどのようにして一億国民の子孫を保ち、皇祖・皇宗の神霊に詫びるのか。これが帝国政府をして共同宣言に応じさせるに至ったゆえんである。
 朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力した同盟諸国に対し、遺憾の意を表せざるを得ない。帝国国民には戦陣に散り、職場に殉じ、戦災に斃れた者及びその遺族に想いを致せば、それだけで五内(ごだい)(玉音は「ごない」。五臓)引き裂かれる。且つまた戦傷を負い、戦災を被り、家も仕事も失ってしまった者へどう手を差し伸べるかに至っては、朕が深く心痛むところである。思慮するに、帝国が今後受けなくてなたない苦難は当然のこと尋常ではない。汝ら国民の衷心も朕はよく理解している。しかしながら朕は時運がこうなったからには堪えがたきを堪え忍びがたきを忍び、子々孫々のために太平を拓くことを願う。

 朕は今、国としての日本を護持することができ、忠良な汝ら国民のひたすらなる誠意に信拠し、常に汝ら国民と共にいる。もし感情の激するままみだりに事を起こし、あるいは同胞を陥れて互いに時局を乱し、ために大道を踏み誤り、世界に対し信義を失うことは、朕が最も戒めるところである。よろしく国を挙げて一家となり皆で子孫をつなぎ、固く神州日本の不滅を信じ、担う使命は重く進む道程の遠いことを覚悟し、総力を将来の建設に傾け、道義を大切に志操堅固にして、日本の光栄なる真髄を発揚し、世界の進歩発展に後れぬよう心に期すべし。汝ら国民よ、朕が真意をよく汲み全身全霊で受け止めよ。
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先帝陛下の苦衷の一端を知ることができると思います。
現代でもやはり軍事力というのはもっとも分かりやすい、便利な外交の道具ではありますが、当時に比べ国際協力や経済制裁といった分野でも十分に他国と駆け引きができるようになってきています。特に経済制裁は戦争並の不利益をもたらせることもできるほどに成長しています。また、経済活動でも今や複数の国が連携しないと成り立たないようになっています。直接砲火を交えるようなことは最大限度、回避するよう努力すべきかと。特に一度戦争をすれば勝った国も負けた国も国際社会において信用度が落ちます。
先の大戦で犠牲になった数百万の人たちは多分、よりよき日本の未来を信じていたに違いありません。武あってなおそれに拠らず、英知と陰徳を以て世界に日本の精華を知らしめたいところです。


平成二十八年葉月十五日
不動庵 碧洲齋