異文化に触れる

「リエントリーショック」という言葉があります。日本から海外に行き、異国の文化にショックを受けるのが「カルチャーショック」、でしばらく海外に滞在して帰国したときに日本の文化を再認識したときに起こるのが「リエントリーショック」なのだそうです。恥ずかしながら最近知った言葉です。

インターネットが普及する前では伝聞や紙の媒体による情報、あるいはテレビやラジオ、映画という一方向的な媒体でしか、海外の様子を窺い知る事はできませんでした。

しかしインターネットが普及した後は飛躍的に情報量が増えて、知らない街の裏路地の様子までつぶさに分かるようになってきました。また、SNSなどで海外の全く見知らぬ相手とも繋がりを持てたりして、昭和時代/平成一桁とネットが普及したそれ以後の時代が隔世の感を持つようになりました。故に現代ではもしかしたら「カルチャーショック」も「リエントリーショック」も昔ほどには感じないかも知れません。ホームシックも今や国際間の通信は手軽にできるわけですから昔ほどではないと想像します。

一方でバブル以降現在まで日本人の出国数は概ね2000万人前後で変動しているだけで飛躍的には伸びていません。世界で最も融通の利く日本のパスポートも取得率は25%に留まります。私が初めて海外に行った1989年は日本人出国者数が間もなく1000万人に手が届くという時代でした。

とはいえ、実際に海外に行って外国文化を肌で感じるという経験はネットの情報とは比較にならないほどに重要で、先進国の一雄たる日本ではそれが大幅に欠如している感ありです。時折、リベラル派や保守派の意見に違和感を感じることがあるのはそういう理由かも知れません。

現在の経済状況を鑑みると海外に行ける余裕がある人は減っているように思います。出国者数があまり変わらないのはもしかしたら富裕層で海外に行く回数が増えたからかも知れません。

それを補完できるかどうかは別として、幸いにも来日外国人は増えてます(今年は別ですが)。彼らと交流を持つことによって多少なりとも「カルチャーショック」や「リエントリーショック」を疑似体験できるかも知れません。しかしながらどうも外国人観光客と一般の日本人の距離は結構あると感じます。海外に行かないのであればせめて積極的に外国人の交流を求めてはいかがでしょうか。

そうせねばならない理由は日本が世界に冠たる経済大国で、世界に大きな影響を与えている国だからです。そして欧米諸国に較べるとまだよく理解されていないからとも言えます。先進国唯一の非白人国家、非基督教国家、これだけでも欧米人からしてみると距離を感じると思います。そのため、その差を埋める努力をする義務が日本人にはあると思うのです。

また日本人のものの考え方はガラパゴスだとか欧米の反対だとは言われますが、私の経験では世界平和にかなり役立つものの考え方だと思っています。現実に日本は現存する国家では世界最古であるとも言われています(天皇家は世界最古の王族なので)。モンゴルに二度も攻められ、世界で唯一、核兵器による攻撃を2度も受けてなお、先進国の中では1.2を争う国ですから、日本のマネをしてそうそう間違えることはないと思うのです(多少愛国心が入ってますが)。

できたら特に若い人には海外に半年とか1年、ワーキングホリデーなどで行ってもらいたいところですが、それが無理なら数週間の観光でもいいのでぜひ行くことをお勧めします。どこの国でも構いません。日本と違う文化に触れて日本文化を再認識して世界における日本の立ち位置を再確認するという体験は、日本を客観的に見る上で重要なことだと思っています。

令和弐年神無月十九日
不動庵 碧洲齋

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