露政

これも日本にはなかなか伝わらない部分です。
ロシアでは基本的にかなり個人の権利が保障されています。
例えばやらないほうがよいですが、赤の広場で1人でプーチン大統領の悪口を言っても何も言われないか、警察官に怒られる程度です。まあ、今は時期が悪いので交番に同行されるかも知れませんが。いずれにしても中国のようにひどい扱いになると言うことはまずありません。

警察官は最近になってやっと、社会主義時代の悪いイメージから脱却しつつあると言った感じです。日本と違って兵役義務があるので、若者は1年間、警察や軍隊もしくはそれに準ずる国家公務員に従事しなくてはなりませんが、彼らを見ている限りは義務感でやっていると言うよりはやむなく従事しているといった感じです。赤の広場で警察官の格好をした若者が、彼女といちゃついていたのには驚きました。こういう国家に服務する義務というのは日本にもあってよいのではないかと思います。兵役とは言わず、国の仕事を1年間、安い給料で奉仕することは若者にとってよい影響を与えると思います。

ちなみにロシアでは死刑は廃止されました。一昨年ごろから陪審員制が始まっています。人権問題にもかなり気を使い始めてきていますが、やはり強行な反政治的グループには強権を発動します。もっともこういう事に強権を発動しない国はとても少なく、世界的に見て日本の方が異常だと言うことを覚えておいてください。

また、土地を所有できる権利があります。
元社会主義国家でありながら、今では土地はちゃんと所有することができ、勝手に国が搾取することはありません。もっともロシアになってからされたと言うこともないようです。ソビエト時代でも政府が勝手に人が住んでいるところを強制的に立ち退かせたりと言うことはあまりなかったと言うことでした。ソビエトが崩壊したときに、元々住んでいた家があればその敷地を、田畑を耕していれば場合はその耕作地をもらえたそうです。その後の混乱があるので、そういう話しも夢のような話しとはいかないようですが。
その点では中国は悲惨ですね。友人に今の中国の個人の権利や実体を話したら驚き呆れていました。

北方領土問題。
驚くかも知れませんが、多分、かなり騒いでいるのはシベリアとか直接そこに住んでいる人たち、極東の人だけです(それもごく一部の)。モスクワ住民や私の友人宅周辺の人はいずれは日本に返還されるべきだと考えている人が多いのです。基本的にロシア人はかなり日本人にひいきです。
ロシアはかつて社会主義国家でした。だから国民の意思はほとんど反映されませんでした。現在はちゃんと選挙があります。正確に言えば選挙が始まりました。
しかしながら選挙が始まったからすぐに民意が反映される訳ではありません。ついこないだまで社会主義国家だったのですから、投票に行く人も半信半疑ですし、そもそも気味が悪くて行かない人も大勢います。まだ多くの市民は身を守る方を優先します。個人的にまだ時間はかかるにしてもそのうち民意は必ず反映されてくるものと思います。

プーチン氏
ロシアでもプーチンのやり方に賛同しない人は大勢います。私の友人はチェチェン紛争に抗議するために罰金を払って兵役を拒否しました。今は軍隊以外にも広く服務すべき仕事も結構あるので、拒否は難しいようです。
個人的にもプーチンのやり方はかなり強硬だとは思いますが、ソビエト崩壊後にここまで回復させた手腕は認めない訳にはいきません。日本人的にはこういう強攻策は嫌われますが、日本式もしくは欧米の民主共和主義的なやりかただったら、きっとロシアは未だにうらぶれた三流国家のままだったと思います。
プーチン氏の政策方針にはやり過ぎの面もありますが、以前TIME誌に「自由より先に秩序を選択した」と言ったように、崩壊後の混乱を収拾させるためには仕方ない面があったと思います。逆に今の日本にこそこのくらい強く押せる政治家が欲しいものです。
外交などでは「元KGB」とか「冷徹な政治家」とか言われますが、実際はかなり温厚できまじめな人のようです。サンクトペテルブルグの市政にも関わったことがあるようですが、あのような文化的な町を仕切るにはやはりそれなりに有能で文化的でなくてはなりません。
KGBで働くきっかけなどはwikiをご覧頂ければ分かりますが、本当に笑ってしまうぐらい真面目です。また、友人の説によると基本的にプーチンは日本人を尊敬しています。本人は柔道で人生が変わったと言っていますし、娘さんも日本史を学んでいます。それだけに今の日本人、日本人政治家の体たらくにいたく失望しているとのこと。日本人でも今の政治家にはロクなのがいないのは悲しい程によく分かります。私がもし日本と交渉する政治家でも今の政府は信用なりませんね。ロシアで民意が上がってきて、日本に今少しまともな政治家がいたら、北方領土が還ってくる日も遠くない気がします。武芸者としてプーチン氏を信じたいと思います。

レーニン像
大抵の町にはレーニンの銅像があります。
今となってはソビエト時代の遺物に過ぎませんが、打ち壊される程ではありません。
笑ってしまいましたが、撤去する費用(むろん税金です)がもったいないというのが大半のようです。町の一番目立つところにあるので撤去したら代わりになにがしかのモニュメントを建てないと格好が悪いようですが、それは追々ということらしいです。
ロシアには帝政時代のものソビエト時代のもの、現代のものが仲良く並んでいます。帝政時代もソビエト時代もひどい時代ではあっても過ぎてみれば良いことも悪いこともあり、一概に否定すべきものではないと考えているようです。あのソビエト時代であっても、今の老人達には懐かしいと思わせる何かがあるようです。日本人が昭和時代を懐かしむようなものだと思います。
どこかの国は王朝が変わるたびに前王朝を徹底破壊したり、前の政体を徹底否定したりと、心に余裕がない国も見受けられますが、そこはさすがに大陸国、ロシア人はセコくありません。(大体、戦争して打ち負かした国(日本)を尊敬している時点で懐が広いと思います)
そう考えると、レーニン像はそのままでも良さそうな気がします。


平成二十四年葉月二十日
不動庵 碧洲齋