水を慈しむ

ロシアではモスクワとその近郊では概ね水道水をとりあえず直接飲むことができます。
郊外の方ではなかなかおいしいところもあります。比較的裕福な家庭にはビルトイン浄水器を備えたところもあるようです。
場所柄、水は清浄であることは容易に想像できます。

ロシア人は自然を大切にしていることが多いようです。
一般家庭のガーデニングや公園の在り方を観ていると強くそのように感じます。
そもそも人口に比して自然の地域があまりに広大なのでそうするのかも知れませんが。

ロシアにも自動車用ウォッシャー液は売っていますが、実は夏季に使っていない人が割にいます。曰くなるべく自然でないものは撒き散らかしたくないとか。
確かに夏であれば水でもそこそこ落ちますからそんなに困りません。水ですから安いですし。
家でも例えば油ものではないお茶に使ったティーカップは洗剤を使わずに水だけで丁寧に洗う人が多いようです。油ものではない料理に使った皿もそうしている人が多かった。下水の水質を気遣ってのことだとか。

ロシアの自然は美しい。アメリカのように雄大ではありますが、日本人にとって涙がこぼれるような美しさです。美しさが繊細というのでしょうか。私は留学時代にアメリカの半数以上の州を自動車で周り、そこそこ知っているつもりですが、ここ数回、出張などで行って見てきた感じではロシアの自然はやはり美しい。日本の美しさに共通するものがあるかも知れません。

カヌーに乗りました。人生初のカヌーで川下りをした距離は約30キロだったとか。流れは緩く、ゆっくりとした舟旅だったため、それほど疲れはしませんでしたがやはり長かった。道中・・・いや川中でしょうか、自然が大変美しかった。30キロで釣り人など目にした人は10人もいなかったと思います。ほぼ無人の自然の中を中くらいの規模の川を下りました。

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水質ですが、これまた大変に澄んでいました。川底はほとんど水草に覆われていましたが、下までくっきりと見えるほど。多分飲んでも問題ないレベルだと思います。勿論時折魚が泳いでいるのもよく見えました。一度二度、澱みを突破するのは大変でした。一度はムリだったのでカヌーを引き上げて回り道をしました。こういうときにカヌーは便利なもので、二人もいれば十分に川から引き上げられますし、少々の距離なら運べます。

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日中はなかなか残暑厳しいものでしたが、何せ川面を移動していたので気持ちいい涼しさでした。

緑豊かな川縁と、時折見え隠れする雄大な自然。最近身の回りに起きていた事柄があまりにつまらなく思ったりもしました。人そのものは小さいものですが、心は矮小であってはならないと思います。心は持ちようですから雄大にもなれるというもの。人はぜひこのようにありたいものです。


平成二十七年神無月朔日
不動庵 碧洲齋