東日本大震災8周年に寄せて

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震災前に仙台の辺りには3回ほど行ったことがあります。松島が大変美しかった記憶があります。元々国内旅行はほとんど行かないので、以後、東北には行きませんが、ある意味東北地方は多くの関東地方在住の人々にとって日本の原風景のような場所のように思います。弊社の社内にも東北出身の人は多い。

地震があったときのことは良く覚えています。事務所兼工場社屋が恐ろしいほどに波打っていました。ま、工場は大きさの割には軽いので倒壊したり損傷することはありませんでしたが。
東日本大震災は明治からカウントしても3番目に規模が大きい災害とされていますが、他と何が違うといえば原子力発電所が破壊されたこと。これはワールドワイドでニュースになりました。
以後、計画停電が何度かあり、地域のあちこちで水道管が破裂して修理するのを見ました。また、ガソリンスタンドがどこも空になり、あやうく交通機関が麻痺するところでした。
関東地方ですらこのような事態でしたから、実際に被害を受けた東北地方はその比ではなかったことでしょう。自然の脅威の巨大さを、身を以て感じました。

震災のすぐ後に出張のために渡米しました。米国でももちろんニュースになっていましたが、一番驚いたのはテレビで流されている映像はほぼ全てショッキングなものばかり。それを何度もエンドレスで流しています。違和感を感じるどころか少々怒りを覚えました。いうまでもなく視聴率稼ぎですかね。リアリティーに欠けた内容だった気がします。特に放射能に対する恐怖が著しかった。その時私が行った場所はラスベガスでしたが、そこはかつて近所に核実験場があったところで、時には原爆キノコ雲が見えたほどです。そんな恐怖するのにそういう場所に住んでいるのかよ、ってツッコみたくなりました。また、戦後太平洋では何度もとんでもない規模の核実験を行いましたが、今では何でもなかったように生活しています。もっと言えばヲタクらが核兵器を落した広島長崎、広島に到っては現在日本でも有数の100万人都市です。だから放射能の問題というのは実は思っているほど(あるいは煽っているほど)には酷いものではないのかも知れないと思ったものです。現在では例えばマイクロプラスチック問題の方が遥かに大規模で深刻な問題であることがよく分かっています。

よく福島原発から流れ出ている放射能が太平洋を覆い尽くしている図を見ますが、それなら核兵器実験の影響の方が桁違いに大きいはず。方や平和利用のアクシデント、方や大量破壊兵器の実験ですから。そういう事実に対して私は英語で何度かニュースサイトに問いましたが、欧米人がよくやる「見ない聞かない言わない」モードになります。彼らの多くは都合が悪い場合は見えなかったり聞こえなかったりすることが多いように思います。なるほど世界から戦争がなくならないわけです。

この災害では20000人近い方が亡くなったり行方不明になっています。今の日本では気の遠くなるような膨大な数の犠牲者数ですが、日本では毎年、ほぼ同じ数(以前はもっと多い)の方が自殺しています。だから毎年大震災のような災害がなくとも自ら命を絶つ人の数がこれだけいるという事をしっかりと見据えて、それを阻止できるような社会を構築したいところです。

復興には長い時間がかかります。多分、日本のような先進国であれば、例えば一般的な発展途上国に較べると遥かに早く復興することもあるのでしょうけど、何と言うか人心が置いてけぼりを喰らっているような、そういうニュースをよく見かけます。発展途上国は復興が遅くとも周囲で助け合うことが多いのではないでしょうか。こればかりは昔のように近所の繋がりを見直したいところです。

大震災から8年です。長いのか短いのか分かりませんが、原子力発電所の処分も考えると、まだまだ復興の道は長いと思わざるを得ません。今年も懇ろに犠牲者の皆様に手を合わせたいと思います。

平成三十一年弥生十一日
不動庵 碧洲齋